次の一歩は、准看護学校で。miru-tochi栃木県医師会特集

 

“准看護師”とは?

診察補助をする医療従事者

 准看護師とは、病院や診療所で診察補助を行う医療従事者です。採血、点滴など医療に関わる業務を全般的に行います。

准看護学校の学生たち

 准看護師になるためには、准看護学校で2年の課程を修了したのちに、准看護師試験を受験する必要があります。
 学校には、中学・高校からの進学者、専業主婦だった方、別の職業についていた方など、19歳から50代まで幅広い世代が在籍しています。世代が広いクラスでも、「准看護師になる」という一つの目標に向かって団結し、日々励んでいるのだそうです。
 今回、准看護師の石川さんと、准看護師を目指す学生の佐藤さん、亀山さんにお話を伺いました。

准看護師 石川さん

【誰もが挑戦・熱中できる仕事】

●目指したきっかけ
 元々、介護福祉士で介護の仕事をしていました。給料面や自分のモチベーションのステップアップとして准看護師を目指すようになりました。
●実際になってみて
 実際に准看護師になってみて、仕事の全てがやりがいだと思います。業務の中で、上手く出来なかったことが「今日は出来た!」ということが毎日あり、日々進化していますね。
●プライベートのこと
 休みの日は子どもが行きたいところへ行っています。高校生なのであまり手がかかる年齢ではないですが、子ども優先でそういった時間は取るようにしています。
●読者に伝えたいこと
 職種も年齢も関係なく誰もが、何かに熱中できる・挑戦できる入り口として、准看護師はとても向いているのではないかと思います。「私でもなれたのだから、みんな大丈夫だよ!」と周りの人に声をかけることもあります。チャレンジすることが大事だと思います。

学生 佐藤さん

【みんなで協力し 一つの目標へ】

●目指したきっかけ
 東日本大震災のときに被災し、避難をしていました。精神的にも辛い状況で、看護職の方々に助けてもらったことが強く印象に残っています。今度は私が誰かを助けられる人になりたいと思い、准看護師を目指しました。
●学校や勉強について
 家のこともしなくてはいけないので、勉強時間を確保するのは大変です。ですので、授業中にできるだけ知識を吸収するようにしています。分からないことがあったら、質問し、自分で調べて、その日のうちに理解できるようにしています。実習で診察補助をしたとき、今の患者様の状態や、それに対して必要な薬は何なのか、先生と患者様のやりとりで理解することができ、勉強の成果が出たと自信がつきました。
●プライベートのこと
 私が学校に行き始めてから、子どもが寂しがることが増えてきました。そんなときは、子どもがやりたいことをして、一緒に息抜きをします。
●読者に伝えたいこと
 これから学校に通おうと思っても、年齢を気にしてしまうという人は多いと思います。ですが、子どもが大きくなってからでも、子どもが小さくても周りの協力を得られれば、准看護師への挑戦ができます。何より、みんなで一つの目標に向かって勉強するので、協力できるし、先生も助けてくれます。不安にならずに、ぜひこの世界に飛び込んできてほしいと思います。

学生 亀山さん

【年齢を気にせず学べる場】

●目指したきっかけ
 私も元々、介護福祉士をしていました。ですが、周りで冷静に対応している看護職の方の仕事を見るうちに、自分も患者様ともっと近い立場で接してみたいと強く思うようになりました。また家族の中に難病の子がいるので、子どもに対しても知識を持った上で接してあげたいと思ったことも、准看護師を目指したきっかけの一つです。
●学校や勉強について
 実際に学校に通い始めて、勉強をきちんとしたいと初めて思いました。准看護師になるための勉強をすることが苦痛ではなく、いくつになっても学べることにとても感謝しています。勉強をするときは、授業で言われたことをただ覚えるだけではなく、なぜ?どうして?と好奇心を持ちながら取り組んでいます。理由と根拠を紐づけて覚えれば、ずっと記憶に残るからです。介護福祉士をしていたときの患者様に、「看護師になって帰ってきてね」と言われており、『絶対に大きくなって帰ってくる』という目標があります。それをやりがいに、今頑張っています。
●プライベートのこと
 プライベートとの両立のコツは、一人で背負わないことです。自分で出来ることと出来ないことを分けて、出来ない事は誰かにお願いしています。そのバランス感覚を大切にしています。
●読者に伝えたいこと
 やらないで後悔するよりも、一度チャレンジしてみて、それからどうするか決めても遅くないと思います。

医療の現場からの声を聞いてみました。

「これからの時代に必要な医療従事者」

栃木県医師会 稲野秀孝 会長

深刻な人材不足

 医療業界全体の抱える課題として最も重要な問題が「人材不足」です。その原因は、少子高齢化による労働力の減少や、育児や介護によるキャリアの中断などといわれています。もう1つは医療従事者の待遇は公定価格のため、他産業と比べて賃上げが困難な状況にあります。人手不足により、医師や看護師1人当たりの負担が増えて過重労働になりますが、その一方で、2024年度からの働き方改革によって、医師の時間外労働時間が上限規制されるなど、医療の現場は益々厳しい環境にさらされることになります。栃木県においても、人材不足が深刻で、栃木県医師会としても、医療・介護従事者の確保と人材育成が急務であると考えております。

重要な役割を担う

 准看護師の業務は医師や看護師の指示のもとで、点滴、注射、採血や診療の補助など、現場において大変重要な役割を担っております。病院はもちろんですが、診療所やクリニックといった医療の現場のみならず、在宅診療や老人ホーム等での介護の現場でも活躍することが期待されております。チーム医療の一員として、患者様に寄り添い、栃木県の地域医療・介護に大いに貢献していただきたいと思います。感染症の発生拡大時や災害の現場にもできるだけ参画して、そのスキルを発揮してほしいです。

栃木の医療を見守る

 看護師の資格を持っている方で、現在休職中の方々には、是非、復職を検討して欲しいと思います。また年齢に関係なく、准看護師の資格取得に興味のある方は、積極的にチャレンジしてください。これからの超高齢社会に必要な医療従事者の一員として、栃木県の医療・介護を一緒に守っていきましょう。

栃木県医師会 長島徹 副会長

地元で活躍する魅力ある仕事

 准看護師は働きながら2年間で資格が取れる魅力ある仕事です。免許は県知事から交付されます。つまり、都道府県で育てていく職種となります。栃木県内の診療所や介護保険施設、社会福祉施設などに従事している看護職員の半数近くは、准看護師が担っています。年齢層は50代〜60代までの方が最も多く、30代〜40代の方がそれに続いています。

各所で活躍する准看護師

 施設や診療所での准看護師の仕事は、基本的に看護師と変わりありません。診療所などでは、看護師も准看護師も医師の指示に従って動くことが多いため、そこでの業務内容に大きな差がないからです。そのため、非常に大切な立ち位置や役割を担うこともあります。

栃木医療の期待の星

 私が教えている准看護学生の平均年齢は30歳です。社会人だった方から、子育てが一段落した方、手に職をつけて自立したい方など様々です。奨学金をもらって学校に通うことも、働きながら学校に通うこともできます。中には、看護師を目指して准看護師の資格を取る人もいます。今は7年間准看護師として働けば、通信制の学校に入学して、看護師の試験を受験する資格が与えられます。准看護師としての経験がある分、活躍が期待できるのではないかと思います。
 准看護師、准看護学生になって「やってよかった」「入ってよかった」というポジティブな意見を多数耳にします。それに加え、地方の施設や診療所に就いてくれる方は、地元の学校で学び、その後も地元で働いてくれる方が多い傾向にあります。特に、准看護学校を卒業した方々は、県内でそのまま就職することが多く、貴重な人材です。我々の仲間としてぜひ、一緒に働いて、力になって欲しいと思います。准看護師という職種を、もとから知っていた方も、今初めて知ったという方も、より一層、興味を持っていただけたら嬉しいです。

学生を募集中!

 現在、栃木県内の准看護学校、
「公益財団法人宇都宮市医療保健事業団附属宇都宮准看護高等専修学校」
「佐野市医師会附属佐野准看護学校」
「足利市医師会付属准看護学校」
「医療法人報徳会宇都宮病院附属准看護学校」
の4校で、「令和6年度の入学生」を募集しています。詳しくは、各学校の公式HPか、栃木県医師会HPをご覧ください。

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